卵子の質を高めるために鍼灸でできること。ミトコンドリアと卵巣血流にアプローチ

「採卵しても、なかなか良い卵が採れない」「受精しても胚盤胞まで育たない」「年齢のせいと言われるけれど、次の採卵までにできることはない?」。特に30代後半~40代で不妊治療をされている方にとって、「卵子の質」はとても気になる問題だと思います。むろん、卵子の質には年齢による影響があります。残念ながら、鍼灸によって卵子そのものを若返らせることはできません。しかし、加齢によって低下していく身体の機能を補い、今ある卵子ができるだけ良い状態で育つための身体の環境を整えていく。そのために鍼灸でできることがあります。

卵子が持つ力を、できるだけ発揮できる身体へ。鍼灸が卵子の質をサポートできる理由

①ミトコンドリアの活性化
卵子の成熟や受精、その後の胚の発育には、多くのエネルギーが必要です。そのエネルギー源となるのが、細胞の中にある「ミトコンドリア」です。ミトコンドリアの機能も加齢によって低下していきます。全身への適切な鍼灸治療により、卵子のエネルギー源であるミトコンドリアの働きをサポート。卵子の成熟を促し、その機能を最大限引き出す手助けをします。鍼灸とミトコンドリア機能については研究が進められており、卵巣機能や卵子・胚の質への関与を示唆する報告もあります。ただし、まだ研究途上の分野であり、「鍼灸をすれば卵子の質が必ず良くなる」というものではありません。

②卵巣血流の改善
卵子が育つためには、酸素や栄養が必要です。鍼灸によって骨盤周囲の血行を促し、卵子が育つ過程に必要な酸素と栄養をしっかり届けられる身体の環境を整えていきます。卵子だけを見るのではなく、「卵子が育つ身体そのもの」を整えることが大切だと私は考えています。

③自律神経・ホルモンバランスを整える
不妊治療中は、採卵、受精、胚盤胞まで到達するか……と、結果を待つたびに緊張やストレスが続きます。身体が慢性的な緊張状態、つまり交感神経優位の状態になっている場合には、鍼灸によってその緊張をゆるめ、自律神経のバランスを整えていきます。ストレスによる身体への負担を軽減し、卵胞の発育に関わるホルモンがスムーズに分泌される身体の環境づくりを手助けします。

なぜ「採卵の3ヶ月前」からのスタートが必要なの?

卵子の質を考えるうえで、私は「いつから身体を整え始めるか」も大切だと考えています。原始卵胞がホルモンのシャワーを浴びながら成熟して排卵されるまでには、約120日(約3〜4ヶ月)かかります。だからこそ、質の良い卵子を育てるためには、採卵直前だけではなく、3ヶ月ほど前から継続して身体を整えていくことが大切なのです。採卵まで3ヶ月を切っている方も、まずはぜひご相談ください。その時点から、次の採卵までにできる限りのことをしていきましょう。